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間もなく第75回二紀展広島巡回展(第50回)- ひたむきに生きる人生をモチーフに

来週、24日(火)から二紀展広島巡回展が始まります.

入選作の「Ita vita-その瞳に宿る須臾の残影」(S50号キャンバス アクリル)が展示されます。

 

モチーフにしたのは祖母の人生で、たとえ思い通りにいかなくても淡々とひたむきに生きる人生の美しさを表現したいと思い制作しました。


祖母について

大阪でタイピストをしていた祖母は祖父と結婚してすぐに戦争未亡人になりました。

その後不運にも、住んでいた祖父の里の三重で大津波にあって家も頼れる人もなくして、広島に帰って来て米軍基地の病院で働いていました。それから様々な仕事をして、

働きづめに働いて、ある日突然、心臓発作で亡くなりました。

 机の引き出しのわずかな遺品のなかで記憶に残っているのは、タイピストの免状と米軍病院からの採用通知と野生のエルザの小説一冊。


 私は、祖母の亡くなった年齢とほぼ同じになりました。

最近、彼女がなにを思い日々を過ごしたのだろうと思います。


祖母との思い出で特に鮮明に覚えているのは、

一緒に歩いている時、辛抱人だったので時代遅れの古くて繕いのある服を着ていた彼女に心ないことを言う人たちがいましたが、猛烈に腹が立った私とは逆に「洗濯して清潔にしてあるのだから恥ずかしいことなんて何もない」と涼しい顔の祖母の姿と、

祖母と二人っきりで話すときは英語だったこと。


当時、外国人が少ないなか呉の街を歩くとき、道行く人たちにジロジロと見られるのがとても恥ずかしかったのを覚えています。

でも、このおかげか中学以降の英語の勉強は苦労しませんでした。


そして何より、「生きた銭を使え」が口癖でしたが、この言葉は今でも私にエールを送ってくれています。

 彼女からお菓子やおもちゃを買ってもらったことは一度もなかったのですが、絵を描くことしか取り柄のなかった私に小学生には不相応で驚くほど高価な画材を買ってくれたりしました。その時、高く自分の価値を認めてもらえた経験は、その後の私の心のより所と目標へのモチベーションになっています。


多くのことを教えてくれた祖母でした。その生き方は私の心のなかで今も道標のように輝き続けています。


第75回二紀展広島巡回展(第50回)

日時 2023年1月24日(火)~29日(日)

   AM9:00-PM5:00

   (金曜日はPM7:00)

場所 広島県立美術館 

   県民ギャラリー








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